old-guy-tweetsのブログ

日々の出来事日記でボケ防止!

父母を偲ぶ Part Ⅶ

約2週間が経ち、地元の病院の先生から話があるとの事で、母と談話室へ。

残念ながら、がん細胞は残っていたようで、そのがん細胞が、少しづつではあるが大きくなりだしているとの事。

既に私たちも承知している事ですが、母にとって、これに対する処置は抗がん剤だけです。

先生も母に対して、言いにくそうに
「せっかく大阪の病院で、あれだけの大手術を受けて頑張ってこられたのに。
こんな結果になるなんてね。」

しばらく沈黙が続いたのですが、また言いにくそうに先生が
「今後の処置としては抗がん剤になるのですが、どう進めましょうか?」

少し間が空いて、母の口から
「先生、私、もう抗がん剤は嫌です。」

母の口からそんな言葉が出てくるとは想像もしていなかったので、私は思わず
「えっ、何言うってるの?」
「えっ、どう言う事?」
っと、少し強い口調で行ってしまったのですが、その時にその先生が
「息子さん、あなた、抗がん剤治療受けたこと無いでしょう。
あなたのお母さんは、手術前にも抗がん剤治療を受けてるし、手術後も抗がん剤治療をしてるんやよ。
当然人にもよるけど、きつい人には結構辛いもんなんよ。」

その言葉を聞いて、私は何も言えません。

また先生から、
「お母さん、今即答する必要は無し、気が変わることもあると思うので、また聞かせてください。」
そう言って先生は退席され、私たちも病室へ戻りました。

母もさすがにがっくりとした様子で、「何でかなぁ、何でこうなってしまうのかなぁ。ほんま情けないわ。」
そう言って、必死に堪えていた涙があふれ出ていました。

私も涙をこらえるのに精一杯で、母に何と声を掛けてあげれば良いのか、言葉が全く見つかりません。

できるなら、もう一度抗がん剤治療をして、少しでも長生きしてほしい思いで
一杯です。
でも先生に、ああ言う事を言われ、母にもう一回頑張ってほしいとは言えません。
でも1つだけ母に確認したい事があります。

母はいつも、「あんたらに迷惑を掛けてしまって、ほんまに申し訳ない、ごめんやで。」

ここ最近、ずーと私や弟が大阪へ来る度に、この言葉を言います。
私は、この言葉が今回の決断に至った大きな原因の1つになってるのなら、それは大きな間違いで、そんな決断を受け入れることはできません。

「お母ちゃん、先生が言うように、俺は抗がん剤治療をしたこと無いから、
申し訳無いけど、その辛さが分からへん。
でもな、勝手な事言って悪いけど、俺らは1日でも長く、お母ちゃんに長生きして
もらいたいんよ。
お母ちゃんはここ最近、しょっちゅう、「あんたらに迷惑かけてごめんなぁ」って言うてたけど、迷惑なんてこれっぽっちも思って無いし、もし、その事が原因で抗がん剤治療をせえへんて言うてんやたら、それは違うからな。
みんな、お母ちゃんが元気になってくれることを願ってるねん。
俺、会社に相談して、在宅勤務の了解を貰ったんよ。
大阪の家で仕事できるんよ。
だから全然問題無いんよ。
もう一回聞くけど、それでもやっぱり抗がん剤治療をする気はないの?」
っと聞いた所、
「確かにあんたらに迷惑を掛け続けるのは、お母ちゃんも辛いねん。でもそれだけとは違うねん。ほんまに辛いねん。」

この言葉を聞いて、母は本当に辛いんだなと。
もう、母の好きなように、したいようにしてもらった方が良いんだなと、自分に言い聞かせました。

その晩、弟にも電話を入れ、今日の話を伝え、当然弟も私と同じく、1日でも長生きしてもらいたい気持ちに変わりはありませんが、母がそれを望むのなら、母の思いを尊重するしかないよねと言う事で、電話を切りました。

 

(つづく)